2030年へと向かう10年。技術に善悪という二種類の目的があるのではない。技術を用いる人間の心に善と悪がある

 

人間の機械化防ぐ「不軽の振る舞い」

  • 「尊敬」の精神


                  ⓒPIXTA

人工知能(AI)は自動運転や物流、医療などで、私たちの暮らしを変え始めている。だが、それは必ずしも生活に益するものばかりではない。
 
昨秋、アゼルバイジャンとアルメニアとの軍事衝突でAI搭載の自爆ドローンが人間の判断を介すことなく実戦使用された。

すでに米中露は、2030年に向けた「AI兵器」の配備計画を打ち出している。現時点で、そうした兵器を規制する明確な国際ルールはない。
 
人間の理性から切り離され、暴発してしまいかねない科学技術の舵を人類の利益のために、いかに制御していくか。それは単に、AIの有効活用を促すだけの表面的な精神論では足りない。
 
核時代平和財団のクリーガー前会長は、「技術に善悪という二種類の目的があるのではない。技術を用いる人間の心に善と悪がある」と語った。
 
科学技術がもたらす「利便性」とは本来、「自他共を利する」ものであるべきである。

「あらゆる他者」を認め、尊重していく――「尊敬の精神」をインプットしてこそ、AIは医療・介護、防災・防犯、教育、環境保全など、多様な分野で活躍し、暮らしや命を守り支える存在となれる。




「万人尊敬」の精神の実践者として、仏法では不軽菩薩が説かれている。
全ての人の「仏性」を敬う不軽菩薩は、人々から石を投げられ、杖で打たれても、相手を尊敬する礼拝行を続けた。

 
御聖訓には「不軽菩薩の人を敬いしは・いかなる事ぞ教主釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候けるぞ」(御書1174ページ)とある。
 
この不軽菩薩の振る舞いを、「現在」を生きる「自分自身の実践」としてよみがえらせたのが、私たち創価学会の運動である。
 
万人に仏性の存在を信じ、開かれた対話によって、妙法を弘めていく。相手への尊敬があるからこそ、丁寧にまた真剣に語り合い、仏縁を結び続けている。

対話を通して、「利己」から「利他」へと生き方を転換し、一人一人の生命の変革――「人間革命」に挑戦している。ここにこそ、人間の生命に潜む慢心やエゴを乗り越えていく萌芽がある。
 
池田先生は語られた。「私どもSGIの行動は、大聖人の“太陽の仏法”で全人類を照らしゆく一大『民衆運動』『人間主義運動』である。

どこまでも人間として、人間とともに、人間のために、『生命の解放』を実現しゆく、かつてない根本的な『宗教革命』である」と。
 
2030年へと向かう10年。人類は分岐点に立たされている。

自己欲求のみの実現を考え、偏った利便性に執着し、人間自身が「機械」と化してしまうのか。

それとも、自他共の幸福のために「機械」を自在にコントロールし、調和と互恵の世界を創造する「主体者」となれるか――。

私たち創価の青年が今、世界中で起こしている仏法対話や激励は、「尊敬の精神」を世に広め、人間性を守る確かな道を開いている。

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