頭が痛い場合、コロナ感染リスクが少ない場所では、積極的にマスクを外して新鮮な空気を取り入れる工夫も必要

 

〈健康PLUS〉 コロナ禍で頭痛が増加⁉

    医学博士 丹羽潔さん

     
    新型コロナウイルス感染予防で生活が変化し、頭痛が起こったり悪化したりする人が増えています。マスクを長時間着けることや、生活にメリハリがなくストレスが発散しにくいことが原因と考えられています。医学博士の丹羽潔さんに、コロナ禍の影響で起こっている頭痛の種類や対処法を聞きました。 
     

      

    〈ポイント〉

     ① 種類によって対処法は異なる
     ② 顔の凝りは毎日ほぐそう
     ③ おしゃべりでストレス緩和
     ④ 薬を「月に10日以上」は注意 

      

    初めて症状を自覚する人も





    頭痛を訴えて受診する方が、コロナ禍以前と比べて約2倍に増加していると感じます。頭痛持ちの人が、痛みの強さが増す、頻度が高まるケースと、頭痛のなかった人が新たに症状を自覚するケースがあります。  

    増えている頭痛は大きく分けて、血管の拡張によって起こる片頭痛と、筋肉が凝ることで血流が悪くなって起こる緊張型頭痛の二つです。もともと日本では片頭痛の患者は約1000万人いるとされ、そのうち約8割が女性です。生理の前に、エストロゲンというホルモンの分泌量が減ることによって、頭痛が起こりやすくなるためです。
      
    また、緊張型頭痛の患者は約3000万人とされています。人間の頭は5キロ程度の重さがあり、それを支えている首はとても凝りやすく、緊張型頭痛の要因になるのです。頭の重さは、性別による違いは、ほとんどありません。ただ、女性は支える筋肉が少ないので、緊張型頭痛も基本的には女性の方がやや多いといえます。
      
    片頭痛と緊張型頭痛は、どちらかの場合もあれば、両方持っている人もいます。対処法を間違えると、逆効果になることもあるので、注意が必要です。見分け方と対処法について、代表例を紹介するので、参考にしてください。  
      

    ●こんな症状があったら●
    ◆片頭痛
    〈見分け方〉

     ・ズキズキと脈打つような痛み
     ・前兆や予兆があることが多い
     例)キラキラした光が見える、生あくび、めまい、急な首や肩の凝り
     ・吐き気がある
     ・ちょっとした運動(階段を上るなど)をすると痛みが強くなる
     ・光やにおい、音に敏感になる

    〈対処法〉

     ・喉仏の横(けい動脈)を冷やす
     ・部屋を暗くして安静にする(目を閉じるだけでもOK)
     ・コーヒーや緑茶などカフェインを含むものを取る(一日2杯以内が目安)
      

    ◆緊張型頭痛
    〈見分け方〉

     ・激痛ではなく、鈍く継続的で締め付けられるような痛み
     ・肩凝りや首凝り、目の疲れを伴うことが多い
     ・片頭痛による症状はない

    〈対処法〉

     ・首の後ろや目の周りを温める
     ・入浴でリラックスする
     ・凝りをほぐす
     ・ストレッチなど、軽い運動をする

    ※いずれの予防にも6~9時間の良質な睡眠が大切! 睡眠不足と寝過ぎは、頭痛の原因になるので要注意。  
      

    マスクの中は温度が高い

    感染症対策のためにマスクは必須ですが、実はこれも頭痛の原因の一つといわれています。今の季節は、夏ほどは息苦しさを感じませんが、マスクの中は表面の温度と比べて4度ほど高くなります。特に気温が高い日は、サウナにいるような空気を吸うことになり、脳の血管が熱を持って拡張します。
      
    また、マスクの中で吐いた息を吸うので、二酸化炭素を多く取り込んでしまいます。二酸化炭素は、お酒と同じくらい血管を拡張させる作用があり、片頭痛の原因になります。頭が痛い場合、感染リスクが少ない場所では、積極的にマスクを外して新鮮な空気を取り入れる工夫も必要です。
      
    マスクをしていることで、顔全体で笑ったり、大きく口を動かして話したりすることが少なくなっていませんか? 相手から見える部分が限られるので、自然と表情筋を動かすことが減り、「顔凝り」という現象が起こります。加えて、ゴムが掛かっている耳周囲の凝りや、首の凝りが重なって、緊張型頭痛につながるのです。
      
    帰宅してマスクを外したら、お風呂の中などで顔をマッサージするのがおすすめ。頰骨の下あたりを押すと痛気持ちいいような感覚が分かると思います。それは、想像以上に顔の筋肉が硬くなっている証拠。顔の凝りを毎日ほぐす習慣を付けるとよいでしょう。  
      

    一人の時間をつくることも大切

    コロナ禍ならではのストレスも頭痛につながることがあります。外出自粛やオンライン授業、テレワークで家族が一緒にいることが増え、ささいなことでけんかになることもあるのではないでしょうか。
      
    テレワークは仕事と日常生活の切れ目がなく、生活にメリハリがない状態になることも。それにより、交感神経と副交感神経のバランスが崩れます。自律神経が乱れると、セロトニンという幸せホルモンが急速に減少します。セロトニンは痛みを抑制したり、血管を収縮したりする機能があるのですが、それが減少することで片頭痛を起こしやすくなるのです。
      
    お風呂に入る時刻を決めて、それ以降は仕事をしないと、“自分ルール”を定めたり、家族の中であっても、お互いに一人の時間をつくれるように配慮したりすることが大切です。
      
    一方で、人と話すことによってストレスが軽減され、頭痛が和らぐこともあります。これは猿などの「グルーミング(毛繕い)」と似た行動で、愛情を確かめ合い、リラックスできるからです。たとえ友人に直接会えなくても、電話やオンライン通話を使っておしゃべりをするなど、人とのつながりを保つことが頭痛の改善にもなるのです。  
      

    50代以降の激痛は要注意

    頭痛が起きたとき、市販薬を飲むことで症状を緩和させる場合もあるでしょう。しかし、飲み過ぎには注意が必要です。月に10日以上、薬を飲むようであれば医療機関の受診を検討しましょう。症状が改善しないばかりか、薬を飲み過ぎることによって起こる頭痛もあることを知っておいてください。
      
    片頭痛や緊張型頭痛は慢性の頭痛ですが、すぐに医療機関を受診した方がよい急性の頭痛もあります。強く殴られたような急激な痛みや、力が入らず立っていられなかったり、手足がしびれたりといった頭痛以外の症状が伴っているときは危険です。
      
    また、頭痛薬を飲んでも症状が改善せず、日増しに頭痛がひどくなるような場合も専門医に診てもらった方がよいでしょう。
      
    片頭痛が、50代以降から発症するケースは、まれです。今まで頭痛の経験がなくて、50代以降に激しい頭痛が起きた場合は、くも膜下出血や慢性硬膜下血腫、睡眠時無呼吸症候群などの病気が隠れている可能性があるので、すぐに受診をしてください。

    2021年10月5日 

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