【人生100年時代】年をとっても積極的に階段を使いたいものです。合言葉は「階段は“無料のジム”」
〈健康PLUS〉冷えに強い体をつくろう
“冷えは万病のもと”――だからこそ、冷えの改善や体を温める努力は、不調の改善につながります。今回は、医学博士の川嶋朗さんに、冷えのメカニズムや、体を温めるための生活習慣、冷えに強くなる体操などについて聞きました。
①自律神経の乱れに注意
②4度以下の飲み物はNG
③筋肉量を増やす運動を
体を温め病気を防ぐ
私たちの体には、体温を一定に保つ機能が備わっています。寒いときは熱をつくり出し、暑いときは汗をかいて熱を逃がす――その指令を出しているのが自律神経です。この自律神経のバランスが崩れ、保温調節がうまくできなくなることが「冷え」の大きな要因となります。
一般的に、冷えは熱をつくり出す筋肉量が少ない女性の方がなりやすい傾向にあります。一方で、男性にも意外と多く、しかも、冷え対策をしない人が多いため、症状が深刻になりがちです。
冷えが続くと、血液の温度が下がり、血流が悪くなります。それによって、栄養素、水分、酸素などを運び、老廃物を体の外に出してくれる働きが弱まり、代謝や免疫力が落ちていくことにつながります。
“たかが冷え”と、侮ってはいけません。感染症やさまざまな生活習慣病、女性の生理不順や不妊症、さらには、うつやがんのリスクが高まることも。冷え自体は病気ではないですが、あらゆる病気につながっています。逆に、体を温め、冷えに強い体をつくることが、多くの病気を防ぐことになるのです。
冷えの状況を確認する方法は、さまざまあります。まずは、チェックリスト(別掲)で確認してみましょう。
新型コロナウイルスの影響で、体温を測る機会が増えた人が多いとは思います。ぜひ、日々の自分の体温をチェックする習慣を継続してください。
体温が1度下がると免疫力が大きく低下するといわれています。特に、36度以下の場合は体を温め、積極的に体温を上げる努力をしてほしいと思います。
朝起きた時は、冷えを確認するチャンスです。布団の中で体を触ってみて、脇の下よりも冷えているところがあれば、そこは血流が悪くなっているということ。手足は重要な臓器や大きな筋肉がないため冷えやすいですが、もし、おなかや太ももが冷えていれば、体全体が冷えている可能性があるので要注意です。
□手足が常に冷えていると感じる
□朝起きた時に、おなかが冷たい
□夜、なかなか寝付けない
□便秘や下痢をしがちである
□しょっちゅう顔色が悪いと感じる
□湯船につかると不快な症状が改善する
※一つでも当てはまれば、体が冷えている可能性があります。
飲み物や食べ物の工夫も大切です。まずは、飲み物の温度ですが、冷蔵庫から出してすぐの物はNG。4度以下の飲み物を取ると、内臓を冷やしてしまうので注意しましょう。
オススメは、朝起きた後にコップ1杯のさゆを飲むこと。習慣化すると腸管の活動が活発になり、基礎代謝が高まり、冷えにくい体になっていきます。
体を温める食材は、赤身の肉や魚、緑黄色野菜、ネギ、カブなど。ゴボウやニンジン、イモ類なども効果があります。
冷え取りに効果的な入浴について紹介します。38~40度くらいのお湯に10~20分以上、漬かりましょう。
いつも熱いお湯に漬かっている人は、物足りなく感じるかもしれませんが、ぬるめの温度が大切なポイントです。
41度以上になると、一時は熱いお湯で体がぽかぽかしたように感じますが、血圧が上がりやすくなり、かえって急激に体温が低下してしまいます。また、心臓に問題がなければ、半身浴よりも全身浴の方が、冷え取りの効果が期待できます。
冬は、屋内で温かく過ごす工夫も重要ですが、ただ温度を高く保てばいいというわけではありません。今は特に、感染症対策の観点から、部屋を暖めながらも換気をすることが大切といわれています。
部屋の温度を高くし過ぎていると、外気を室内に入れた時、気温差が大きいため体に負担がかかります。暖房の設定温度は20~22度前後にし、換気をするときは1枚上着を羽織ったり、湯たんぽやカイロなどの温める小物を活用したりしましょう。
特に、首、手首、足首を冷やさないようにすることがポイント。おなかを冷やさない腹巻きもオススメです。最近は薄手のものや、目立たないものもあるので、ぜひ活用してください。
過度に温度を高くするのではなく、衣服で調整するウォームビズを励行していくことが、冷えを取り、自身の抵抗力を高めていくことにつながります。
昨年から自宅で過ごす機会が増えていますが、じっとしていると筋肉が衰え、体が冷えやすくなってしまいます。
筋肉量が増えると基礎代謝と血液量も増えます。筋肉を動かすことで、全身の血の巡りが良くなるので、運動は冷えにくい体をつくるために必要な要素といえます。
「少しきついかな」と思うくらいが効果的。日常生活においても、ほどよい負荷をかけることを心掛けましょう。
例えば、爪先立ちで家事をしたり、掃除機やモップの代わりに雑巾を使って掃除をしてみたり、電車の中では座らないなど、ちょっとした努力の積み重ねが大切です。
特に、冷えを取りたければ下半身のトレーニングが重要。全身の筋肉の約7割は下半身に付いているからです。そのためにも、積極的に階段を使いたいものです。合言葉は「階段は“無料のジム”」。ついついエスカレーターに乗ってしまうのは、損をしていると考えましょう。
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