携帯電話などの家電にも使われる「レアメタル」と呼ばれる希少な金属などが紛争の引き金(紛争鉱物)となり、子どもたちが戦闘員にされている
〈SDGs行動の10年 共に未来をつくる〉 テラ・ルネッサンス 鬼丸昌也理事 人ごとではない暴力の構造 おにまる・まさや 1979年、福岡県生まれ。 SDGs(持続可能な開発目標)の目標16「平和と公正をすべての人に」は、世界から暴力とその犠牲者を大幅に減らすことを掲げる。地雷除去や子ども兵の社会復帰支援などに取り組むNPO法人テラ・ルネッサンスの創設者で、理事を務める鬼丸昌也氏に話を聞いた。(聞き手=寺口青年部文化局長、林池田華陽会委員長) スマホ等に使用される希少金属巡り紛争が 寺口 地雷や子ども兵の問題は、あまり身近に感じていませんでした。ですが今回、私たちの暮らしがそうした問題と無関係でないことを知りました。携帯電話などの家電にも使われる「レアメタル」と呼ばれる希少な金属などが紛争の引き金(紛争鉱物)となり、子どもたちが戦闘員にされる要因の一つにもなっているんですね。 鬼丸 そうなんです。アフリカのコンゴ民主共和国では武装勢力の多くがレアメタルを違法に採取して活動資金を得ており、紛争が長期化する一因となっています。 レアメタルの消費量は一般に先進国の方が多いですから、私たちの暮らしは国外の紛争や子ども兵の課題ともつながっています。逆に言えば、私たちが消費のあり方を変えることで、紛争を引き起こす要因を減らすことができるわけです。 以前、私の講演を聞かれた女性が、日本の全ての携帯電話会社に「紛争鉱物を使わないで」と手紙を書いてくださったことがあります。それが契機となって、多くの会社が調査に乗り出すことになりました。消費者としての意識の持ち方で、企業や社会の変化を促すことができる素晴らしい事例だと思います。 地雷除去後の土地にテラ・ルネッサンスが建設した学校で学ぶ子どもたち 林 テラ・ルネッサンスの活動の原点は、「自分には何ができるのか」との問いであると伺いました。貴団体は特に「次世代に対する責任」の認識を呼び掛けておられますね。 鬼丸 人は誰しも、平和な社会や愛する人との暮らしを守りたいなどの「願い」があると思っています。慌ただしい日常の中で見失われがちな、そうした一人一人の平和への思いを喚起し、全ての人々が安心して生活できる社会を実現したい――それが私たちの目指すところです。 戦争がなく豊かな生活が送れるのなら、そのために資源を浪費しても構わない...