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新型コロナウイルスの治療薬 発症から間もないタイミングでの投与が鍵

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  〈医療〉バーチャル治験で解明「コロナ薬、早期投与が鍵」 少ない被験者で実施が可能 新型コロナウイルスの治療薬候補に効果があるかどうかを臨床試験(治験)で確かめるには、発症から間もないタイミングでの投与が鍵になるとする研究結果を、名古屋大学の岩見真吾教授らのチームがまとめました。    特効薬の開発は難航している 米インディアナ大学の江島啓介助教らと開発した「バーチャル(仮想)治験」のシステムを使い、早期投与なら数百人と少ない被験者数で実施できることを確認しました。 従来のコロナ薬の治験では投与時期が遅すぎて薬の効果が見えなくなっているケースもありそうです。 岩見教授は「人によって大きく異なる体内のウイルス増殖の度合いが、薬の治験を難しくしている」と指摘しています。 米国で初期に使用許可されたのが抗ウイルス薬の「レムデシビル」です。エボラ出血熱の薬として開発され、細胞内でウイルスが増殖するのを抑える働きがあります。日本でも特例承認されて医療現場で使われています。 ただ治験結果の評価は分かれています。米国立衛生研究所(NIH)などは入院患者の回復を早める効果があると報告。これに対し世界保健機関(WHO)は、死亡率を減らす効果はみられないとして使用を推奨していません。 日本の富士フイルムによる「アビガン」も抗ウイルス薬です。国産薬として期待されましたが効果が確認できず、同社はさらに治験を続けています。ウイルス増殖を抑える特効薬の開発は難航しています。 新型コロナウイルスの治療薬「レムデシビル」(ロイター=共同) 個人の免疫応答の違いが影響 「薬を投与するタイミングが鍵を握っているのではないか」。こう考えた岩見教授らは、感染者の体内で起きるウイルス量の変化に着目しました。 江島助教や名古屋大学の岩波翔也助教、九州大学の研究者らと共同で、欧州やアジアの研究者が実施した患者30人のPCR検査データを分析。 すると発症から1週間で体内からウイルスが消えてしまう人がいる一方、2週間で消える人、1カ月たってもウイルスが残る人など大きく3タイプに分かれることが判明しました。 感染した細胞がなかなか死なずにウイルスを排出し続ける体質の人がいるらしい。個人の免疫応答の違いが影響していそうです。 さらにチームはモデル化した患者を使って抗ウイルス薬の治験をシミュレーションしました。...

世界人口の1割(約7億人)が1日1・9ドル(約207円)未満の絶対的貧困者がいる

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  〈共生の地球社会へ~仏法の英知に学ぶ〉 テーマ:貧困問題 ミライさん㊧とホープ博士 登場人物 【ミライさん】好奇心旺盛な女子部員。世の中の出来事について、父・ホープ博士と語り合うことを楽しみにしている。 【ホープ博士】勉強熱心な壮年部員。毎月1回、家族と一緒に教学を研さんしている。「博士」はニックネーム。本業は会社員。 現実を見つめ、行動の一歩を ミライ 東京オリンピック開会式で、バングラデシュの経済学者ムハマド・ユヌス氏に「オリンピック月桂冠賞」が授与されたね。 アスリートを支えるなど、スポーツ界での社会貢献活動が評価されたようね。氏は、貧困問題でも知られているね。    ホープ 世界最貧国といわれ、大飢饉で苦しむ祖国の窮状を目の当たりにしたユヌス氏は、貧しい人々の自立を促すために、少額の資金を無担保で融資する取り組みを始めたんだ。その資金を元手に技能を生かした仕事が新たに生まれ、所得が創出されるようになったんだよ。    ミライ ユヌス氏と、氏が創設した銀行は、貧困軽減に大きく貢献したとして、2006年(平成18年)にノーベル平和賞を受賞したよね。    ホープ 今でも世界人口の1割に当たる、約7億人が1日1・9ドル(約207円)未満の生活を強いら る れているんだよ(本年2月現在)。 住む家がなかったり、食料が買えなかったりするなど、生きていくために必要最低限の生活ができない状態を「絶対的貧困」というんだ。 こうした極度の貧困に苦しむ人の割合は、1990年に比べ3分の1以下まで減少してきたけど、まだまだ深刻なんだ。 人権の究極の否定 ミライ 国連が進めるSDGs(持続可能な開発目標)では、2030年までに世界中で極度の貧困にある人をなくすことや、さまざまな次元で貧困ラインを下回っている人の割合を半減させることを目標にしているよ。 けれども、“コロナ禍の影響で、貧困撲滅の目標達成は困難な状況”と報道されているね。    ホープ さらに、地域差なども課題なんだよ。特にサハラ以南のアフリカ地域や南アジアが深刻で、極度の貧困状態で生活している人の8割を占めているんだ。また、女性は男性と比べて雇用の機会も少ないから、貧困状態に陥りがちだ。    ミライ そうした地域では、農業を主な収入源としている人が多いから、気候変動や自然災害の影響を受けてしまうと、さらに...

生命の再生能力より『希望』の力こそがこの世で最も偉大な力

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〈随筆 「人間革命」光あれ 池田大作〉 打ち鳴らせ希望の暁鐘 「冬は必ず春」と不屈の前進 自他共の幸福勝利へ「わが発迹顕本」を 青年の心で世紀の舞台へ先駆せよ!       年頭より日本海側を中心に大雪が続いている。雪深き地域の皆様に心からお見舞いを申し上げるとともに、尊き友の無事安穏を祈り、真剣に題目を送る日々である。 日蓮大聖人は後半生、佐渡(現・新潟県)、さらに甲斐(現・山梨県)の山で、大雪の冬を堪え忍ばれ、広宣流布と令法久住の法戦を貫かれた。 ある冬は、近隣の年配者たちに尋ねても口々に「いにしへ・これほどさむき事候はず」(御書一〇九八ページ)と驚くほどの酷寒で、「一丈二丈五尺等」(同ページ)という何メートルにも及ぶ積雪であったと記されている。 また、深い雪を物ともせず御供養を届けた門下を、「雪の中ふみ分けて御訪い候事 御志定めて法華経十羅刹も知し食し候らん」(同一三八八ページ)とも讃えておられる。 「無冠の友」をはじめ、雪にも北風にも負けず、誠実に聡明に広布と社会に尽くす同志への御照覧と、拝されてならない。   師弟凱歌の春へ 御本仏・大聖人は、人生の苦難と悲嘆にも退かない女性門下に、「法華経を信ずる人は冬のごとし」(同一二五三ページ)と仰せになられた。 法華経の信心は、いわば “ 冬の信心 ” である。 「冬は必ず春となる」(同ページ)という生命の法則を確信し、忍耐強く試練の冬に挑み抜き、断じて「福徳と歓喜の春」を勝ち開く信仰なのだ。 一九五一年(昭和二十六年)一月、恩師・戸田城聖先生の事業が絶体絶命の苦境にあった厳冬、日記に私は書き留めた。 「冬来りなば、春遠からじ。極寒の冬なれど、春近しを思えば、胸はときめく。いかなる苦難に遇っても、希望を決して捨ててはならぬ」 ただ師匠をお守りするため、阿修羅の如く戦い抜く日々であった。 苦境を打開して、この年の五月三日、遂に、戸田先生の第二代会長就任という希望輝く「師弟凱歌の春」を迎えたのである。 その翌月の十日、先生が晴れ晴れと「白ゆりの香りも高き集い」と詠まれ、結成されたのが、わが婦人部である。 「ゆり」の花は、古代ローマでも、「希望」の象徴とされていたという。 今、不安の闇に覆われ...

平均寿命と健康寿命が世界一の日本人はどうすれば「幸齢」に?

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  〈危機の時代を生きる――創価学会ドクター部編〉第5回 「老」と歩む人生 コロナ禍は、「生老病死」という問題に、人類がいかに立ち向かうべきかを投げ掛けている。「危機の時代を生きる――創価学会ドクター部編」の第5回は、「生老病死」の「老」がテーマ。関西福祉科学大学健康福祉学部教授の中村敏子さんが「『老』と歩む人生」と題して執筆した寄稿を紹介する。 自粛生活が与える影響 人生100年時代といわれる昨今。医療の進歩などにより、日本人の寿命は、年々延びています。   本年、WHO(世界保健機関)の統計では、「平均寿命」は84・3歳(男性は81・5歳、女性は86・9歳)と、世界で最も高いことが発表されました。平均寿命から寝たきりや認知症などの介護状態の期間を差し引いた「健康寿命」も延びており、74・1歳(男性は72・6歳、女性は75・5歳)と、これもまた世界一です。   しかし、新型コロナウイルス感染症の流行によって自粛生活が続くことで、今後、この健康寿命に影響が及んでしまうことが、多くの専門家から指摘されています。その中にあって、一人でも多くの方々が健康長寿の人生を歩んでいけるよう、どう「老い」と向き合うべきかについて考えたいと思います。 細胞レベルの老化 まず、なぜ老化が起こるのかについて、細胞レベルから説明します。   私たちの身体を構成する一つ一つの細胞は、さまざまな要因で傷つき、そのたびに新しく分裂した細胞と入れ替わっています。しかし、その分裂も50回程度繰り返すと、それ以上、分裂できなくなることが知られています。若い頃は、細胞が頻繁に入れ替わるので、組織としての機能を保てるのですが、加齢とともに分裂が限界に達し、取り換えることができなくなると、組織の機能も低下してしまうのです。これが老化です。   分裂のスピードには個人差があり、たとえ同じ日に生まれた人でも、年相応に見える人もいれば、年齢より若く見える人もいます。また、そのスピードは、臓器などによっても変わります。ですので、見た目は若くても、臓器の一部では老化が進んでいるということもあるのです。   そうした違いを生む要因の一つが、活性酸素の存在です。   活性酸素は、細胞を酸化、つまりさびさせるものですが、その活性酸素が体内に蓄積してしまうと、細胞の入れ替わるスピードが早まってしまうのです。この活性酸...

生老病死は誰人も避けられぬ根本の命題である。

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  「多宝」の賢者よ 永遠に前へ 「多宝」の賢者よ 永遠に前へ 万物は流転する。 あらゆるものが流れる川のように変化しつつ、瞬時も止まらない。 その転変の中で、自他共の生命を、希望へ、幸福へ、平和へ、 無限に前進せしめていく究極の力が、我らの信仰である。 名作『大地』の作者パール・バックは、敬慕する母が 晩年の闘病中に語った言葉を書き留めている。 「私の精神はまっすぐに進んで行くことを憶えていておくれ」 「喜んで、凱旋するように死ぬよ」と。 生老病死は誰人も避けられぬ根本の命題である。 特に空前の高齢社会は「老い」の期間が長くなり、 これまでにない課題に直面している。 だからこそ、 多宝会 (たほうかい)・宝寿会(ほうじゅかい)・ 錦宝会(きんぽうかい)の皆様を中心に、我ら創価家族の新たな 挑戦と開拓の使命は、一段と大きい。 どんな財産も権力も、「老い」そして「死」という峻厳な現実の 前には、儚い幻と消え去ってしまう。 鋭く問われるのは、いかなる哲学を持ち、いかなる人生を 生きてきたのか。この一点であろう。 御義口伝には、「自身法性の 大地を生死生死と転ぐり行くなり」 ( 724 ページ)と仰せになられた。 妙法は、永遠不滅の大法則である。なれば、妙法を唱え、 広宣流布に生き抜く私たちの生命もまた、死の時も、 私たち自身が南無妙法蓮華経の当体として、 「法性の大地」すなわち「常楽我浄の大地」の上を、 必ず必ず悠然と進んでいくことができるのだ。 ゆえに、何があっても、断じて恐ることはない。 日蓮大聖人は、齢九十の老いたる姑を真心込めて介護し、 その安らかな臨終を慈愛深く看取った富木常忍の夫人を最大に労い、 讃えてくださっている。 看病の辛労もあったのであろう、夫人は自らも大病との戦いが続いた。しかし負けなかった。 大聖人は、「我れ等(ら)は仏に疑いなしとをぼせば・なに(何)のなげ(歎)きか有るべき」(御書 976 ㌻、「富木尼御前御返事」)と励まされた。 長年、信心してきたのに、なぜ自分が病気になるのか、なぜ家族の介護が必要になるのか、などと、思い歎く必要は全くない。一切が「 転重軽受 」(重きを転じて軽く受く)であり、「 変毒為薬 」できる。 一つ一つ力を合わせ、信心で勝ち越えていく中で、家族が共に仏になる道が深く大きく開かれるのだ。 あの岡城址(じょうし...